被取り込みとは?―鏡の法則の誤解をほどき、本質の奇跡と癒しへ(5−1)

― 光・心理学・奇跡講座の視点から ―

スピリチュアルでは、
「あなたはわたし」「すべてはひとつ」という言葉がよく使われます。

たしかに、
本質のレイヤーでは「すべてはひとつ」は真理です。

しかし、この真理がレイヤーとして心理レベル(人格・感情・思考)のレイヤーに持ち込まれると、

「境界」と「一体性」が混ざり、多くの人が被取り込みという苦しさを体験します。

混乱してきた理由として、
このレイヤーの違いが明確に区別されてこなかったということがあります。

この記事では、光の視座を軸に、

心理学・非二元・奇跡講座の理解が自然に一致するように、被取り込みについて丁寧に見ていきたいと思います。

※心理学・非二元・奇跡講座は、最終的な結論としては同じ地点を指しています。ただし、その理解に至るプロセスや使われる言語・概念の定義は大きく異なります。

被取り込みとは

一言でいうと
自分の感情・思考・ニーズよりも、相手の内側が強くなり「わたし」が薄くなる体験のこと。

これは、「わたし」と「あなた」を区別する心理的な境界線(自分の中の境界線)が揺らいだときに起こります。

そして、この現象は3つのレイヤーそれぞれで説明できます。

1 心理学レイヤー(人格の領域)

被取り込み

心理学では「他者の内側に巻き込まれる状態」 を指します。

特徴

  • 相手の感情が「自分の責任」のように感じる
  • 嫌われないように合わせすぎる
  • 相手の反応に自分が大きく揺れる
  • NOと言うと強い罪悪感が出る
  • 自分の感情より相手の感情を優先してしまう
  • 「自分の輪郭が薄くなる」感覚がある

一言でまとめると:
「自分の中の境界線が曖昧になり、心理的距離が近づきすぎたような状態」

融合

被取り込みと非常に近い現象ですが、焦点が少し異なります。

融合とは「自分の中で、自分と相手の境界の輪郭がぼやけ、どちらがどちらか区別がつかなくなる状態」。

特に、思考・価値観・アイデンティティが混線する瞬間に焦点があります。

特徴

  • 相手の感情を「自分のもの」のように感じる
  • 自分の好み・意見が曖昧になる
  • 相手がどう思うかに強く左右される
  • 自分の中心がわからなくなる
  • 「軸」が働きにくくなる

一言でいうと:
「自分の中で境界線の輪郭がにじみ、区別の線がゆらぐ状態」

被取り込みと融合に共通すること

呼び方は違っても、心理学的にはほぼ同じ現象です。

共通しているのは

  • 自分の中心が弱くなる
  • 他者に同調しすぎる
  • 「わたし」の輪郭があいまいになる感じ
  • 自己価値が相手次第で揺れる

「わたしがわたしでいられなくなる瞬間」です。

2 奇跡講座レイヤー(心の構造)

奇跡講座(ACIM)の視点では、被取り込みはこう説明できます。

「外側が原因で、わたしの平安が乱れた」と心の奥で信じてしまうときに起こる現象。

具体的には

  • 他者の言葉で自分が乱れる
  • 相手の感情に責任を感じる
  • 自分の平安が脅かされると信じる

このとき心は、
自分の中心(真の知覚)から外れて
恐れ(エゴ)と同一化 しています。

「わたしが薄くなる」感覚はACIMがいう“外側に因果を見たときの錯覚”です。

3 非二元レイヤー

非二元のレイヤーでは、次の2つは同時に成り立ちます。

「わたしはわたし」

「あなたはあなた」

これは分離ではありません。
むしろ尊厳としての区別です。

そのうえで、

「深層では一つの海としてつながっている」

という一体性が存在します。

被取り込みとは何か?

本質の一体性が心理的な融合(境界の混線)として誤解された状態。

つまり、それは

  • 「霊的に未熟だから」でもない
  • 「防御が弱いから」でもない
  • 「波動が低いから」でもない

レイヤーの混線によって生まれた自然な現象 なのです。

おわりに

被取り込みの苦しみは「間違い」でも「問題」でもありません。

むしろ、本質に誠実だったからこそ、
心理レイヤーと本質レイヤーの違いに敏感で、
混線を深く感じ取ってきたということ
です。

レイヤーが整理されると、

  • 「あなたはわたし」
  • 「エネルギーが混ざる」

といった言葉も誤解されなくなり、
投影や鏡の法則も癒しとして正しくクリアに働きはじめます。

境界線とは、防御や恐れ、排除のための線引きではありません。

それはむしろ
「光の中での自然な区別」であり
「尊厳としての区別」であり
「お互いを尊重するあり方」です。

そして、その区別は愛と静けさの中でこそ
もっとも美しく保たれます。

この尊厳としての区別は、 愛に基づく神聖な関係を育てる基盤 としても働いていきます。